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「ふらっと ねやがわ市民企画」レポート

第1部 グリーフセミナー


グリーフとは、その人にとって大切な人やものを失くした時に生じる、自然で正常なこころやからだの反応です。

  35才の時に突然の事故で夫を亡くし、深いグリーフを経験することになりました。子ども達もまだ幼く、深い悲しみと不安でこころとからだに様々な反応が現れ、嵐の吹きすさぶ真っ暗なトンネルの中で出口も見えず、1人でもがいているようでした。

 

 当時はグリーフという言葉も知らず、次々と現れるこころとからだの反応に苦しみ、自分を責めたりもしました。

 

 このこころとからだの反応は、重なり合い変化しながら現れるので苦しみが増し、又グリーフの表出には男女の違いもあるように思います。

個人差はありますが、女性は感情を表出しやすい傾向にあり、男性はどちらかというとプライドや社会的規範により感情表出をさける傾向にあります。このように性差により更に辛さが増すことになる場合もあります。

 

 しかし、悲しみを表出することは悪いことではなく、当たり前の悲しみを悲しんでいいと思えることが性別を問わず大切であると感じます。出口の見えないと思ったトンネルにも必ず出口があり、トンネルからトンネルを出るまでをグリーフプロセスと言いますが、ここで大切なのは、現実をありのままに見つめることです。

 

悲しみを取り去るのではなく、上手く折り合いをつけながら進んでいく

 安心できる人に自分の想いを語ること、サポートを受けながら自分のペースで歩むこと、「今ここ」の自分の感情に素直に向き合うことで、少しずつトンネルの出口に向かうことができます。その時に、手を引っ張るのでもなく、後から背中を押すのでもなく、そっと横にいて手をつないでくれる人の存在は、とても力強く大きな支えになります。

 

 「寄り添う」とは、悲しみを抱える方のよき理解者となること。その人と共に居て、あるがままを受け入れ、その人のグリーフプロセスを見守っていく、いつでもそばにいて、暖かくその人を包みこむ… それが寄り添うということだと私は思います。

第2部 パステルアート


 絵を描くということは自分の感情の表出につながり、セルフケアの一つの方法でもあります。パステルを削り指の先で色と重ねることにより、色が持つ不思議な力を体感しました。

 今回は“ろうそく”をテーマに、それぞれが自分が思う絵を描きましたが、48色のパステルの中から自分の好きな色を選んで、デザインもそれぞれの思いで描き13種類のパステル画が出来上がりました。

出来上がった13枚のパステル画を白板に並べてお披露目会をしましたが、参加者の方みなさんが笑顔で、心豊かな時間となりました。

 

 絵心がなく自分には無理だろうと思われていた方も、「やってみると案外できるもので自分の作品が一番好き」と話されたことが印象的でした。第1部のセミナーで、自然と自分の感情が動いていたのか、ワークが始まるとみなさん迷うことなくパステルを手に取り絵を描き始められ、1時間45分のワークの時間をとっていましたが、かなり早く作品が出来上がりました。

 

 アンケートの結果からも、癒やしの時間となったり、自分と向き合う時間であったりとパステルアートの時間がそれぞれにとって意味のある大切な時間であったと感じました。